ガソリン車の将来

弁護士 菊池 博愛

 私は1980年代から1990年代に起きたF1ブームのときに自動車レースに熱狂しました。最近のF1は見ていないので最新情報は全くわかりませんが、そのときの名残で今でも自動車が好きです。自動車好きにもいろいろな種類があるようで、ドライブするのが好きという人もいれば、いろいろカスタマイズするのが好きという人もいます。中には洗車が好きという人もいるようです。私は洗車は面倒くさいと思うタイプで、たまにコイン洗車場で一番安いコースの洗車をするくらいです。

 それはさておき、最近の自動車は純粋なガソリン車は減少の一途をたどっており、ハイブリッドや電気自動車が増えてきています。将来的にはハイブリッドもなくなり、純粋な電気自動車しか走れなくなる時代が来るかもしれません。ガソリン車より電気自動車の方が環境に優しいというのが理由であるようですが、発電するのも環境破壊につながっているという説もあるようで、私にはどちらが環境に優しいのか正確なところはわかりません。

 では全面的に電気自動車しか走れなくなるという世界は実現するのでしょうか。電気自動車は充電が必要であるため、ガソリンスタンドに代わる充電施設が必要となります。今の技術では急速充電でも満充電まで30分~60分くらいかかるようで、自宅に電気自動車用の充電器を設置しての普通充電では8時間以上もかかると聞きます。ガソリン車は普通は自宅で給油することはできませんが、電気自動車の場合は自宅で自動車を使っていない間に充電できるというのがメリットとなります。しかし、逆に旅先での充電ということを考えると現在のところ充電施設も少なく、充電時間も給油と比較にならないくらいかかるということで電気自動車はまだまだ不便なのが現状です。また、自宅での充電という問題に関しては、一戸建てに住んでいるのであれば充電施設を設置することはお金と場所があれば割と簡単にできると思われますが、マンションに住んでいる人はマンションの管理組合などで充電設備の設置について話し合わなければならず、電気自動車を使う人と使わない人とで意見が分かれてしまうことも容易に想像でき、これもまた難しい問題がありそうです。ただ、これから新築マンションを建設するときには充電設備を設置することを行政が義務
づければこの問題はいずれは解消できるのかもしれません。

 今回この原稿を書いているときにスマートフォンの「置くだけ充電」のようなことが電気自動車でもできないのかなと思い、ちょっと調べてみたところ、電気自動車の世界
でも非接触充電の技術開発が進んでいるらしいことがわかりました。非接触充電にはケーブルやコネクタなどが不要で感電リスクが少なく、省スペース化が可能といったメリットがあるようですが、有線式の充電と比較すると充電効率は80%くらいになってしまうようです。しかし、これも技術が進んでいけばもっと効率の良い非接触式の充電方法が開発されると思います。非接触充電が可能なのであれば将来的にはありとあらゆる道路の下に非接触充電設備を設置してしまえば充電しながら走行するということも可能になるのでしょうか。

 このように現在の環境問題、電気自動車技術の発達などに鑑みると、ガソリン車はいずれ絶滅する運命にありそうです。しかし、ガソリン車のエンジン音を全く聞くことができなくなるのも寂しいです。自動車に興味のない人にしてみればただの騒音であるし、こんなことを言ったらひんしゅくを買うかもしれませんが、フェラーリの甲高いエン
ジン音はかっこいい。レンタカーでもなんでもいいから一生に一度はフェラーリを運転してみたい。

 最後の方は若干筆が滑ってしまいましたが、全てが電気自動車となってしまうと味気ない世の中になってしまう気がします。魅力的なガソリン車はアナログレコードのように生き残ってほしいと思います。