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DV防止法の改正について

本田 正男 (弁護士)

 街の中で弁護士をやっていると,その時々に受ける事件の傾向や偏りから,(机の上で考えるのとは違って,)正に今世の中で起っていることを肌で感じられます。 最近では引続き中小企業の倒産に絡む事件が多いと感じられる一方で,離婚事件の数が以前にも増して多くなってきているように思います。 そして,特徴的なことは,最近の離婚事件のうちの多くの事件では,“暴力”が離婚の原因となっているということです。

 最近では,夫婦間など親しい関係にある男女間における暴力については,ドメスティック・バイオレンスという言葉が使われることが多ですが(以下では,ドメスティック・バイオレンスのことを単に「DV」)といいます),これらDV事件の急増を受けて,すでに平成13年には,DV防止法という法律(正式名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」といいますが,以下には「DV防止法」と略します)が制定され,新たに保護命令という,裁判所を通じて,暴力を振るわれることのないように加害者が近寄よることを禁止したり,一定の場所から加害者の退去を命じたりする制度が創設されるなどしました。

 そして,このDV防止法には,制定の当初から附則で3年後の見直しが謳われていたのですが,この度,この間の運用を踏まえ,全面的に制度の見直しが図られ,改正法が成立し,すでに平成16年12月2日からは新しいDV防止法が施行されています。

 今回の改正は,具体的には, ①配偶者からの暴力の定義の拡大, ②保護命令制度の拡充, ③市町村による配偶者暴力支援センターの業務の実施, ④被害者の自立支援の明確化等々多岐に及んでいますが,特に,上記②の点については, (a)元配偶者に対する保護命令, (b)被害者の子への接見禁止命令, (c)被害者と共に生活の本拠としている住居付近のはいかいの禁止, (d)退去命令の期間の拡大, (e)退去命令の再度の申立て, (f)保護命令の再度の申立手続の改善など保護命令制度に関する相応の拡充が図られました。

 これら改正法の内容につきましては,総務省がホームページ上でポイントを解説していますので,ご興味のある方は,ぜひご一読下さい。

 さらに,本年はDV防止法に加え,「児童虐待の防止等に関する法律」(以下「児童虐待防止法」といいます)についても改正法が成立しました。 そして,この改正法では,配偶者等に対する暴力が児童虐待に該当する旨が明示されるに至りました(改正法2条4号)。 かかる児童虐待防止法の改正は,上記(b)の点と共に,今後DV防止の観点からも極めて重要な意義を持つことになろうと思います。

以 上
平成16年11月22日
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