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裁判員制度がはじまります

菊池 博愛 (弁護士)

 来年から裁判員による裁判が始まるということで,最近話題にあがることが多くなっています。

 裁判員制度とは,簡単に言えば,職業裁判官3名と一般市民6名の多数決によって被告人の有罪無罪,有罪であるとすればどのような刑にすべきか,ということを決めるというものです(正確に言えば,単純な多数決ではなく,たとえば多数意見に裁判官と裁判員の双方が最低1名は含まれていなければならないといった規定があります。)。

 なお,裁判員による裁判は,法定刑に死刑や無期懲役,無期禁錮がある事件や,法定合議事件(裁判官3名で担当する事件)の中で故意の犯罪で被害者が亡くなっている場合といった重大事件が対象となっています。

 来年からこのように一般市民が刑事裁判に参加するというまったく新しい制度が始まるため,現在,裁判所も法務省・検察庁も弁護士会も準備に追われています。

 もともとは裁判に市民感覚を反映させ,裁判に対する信頼を高めるという目的で始まる裁判員制度ですが,そもそもこれまでそんなに裁判に対する信頼がなかったのかという議論はさておき,制度自体にいろいろな不安点も指摘されているところです。

 たとえば,裁判員に選ばれた人は連日の出廷が義務づけられるため負担が大きいのではないか,裁判員の安全性は大丈夫なのか,守秘義務が守られるのか,裁判員が重大犯罪に接して精神的に病んでしまうのではないか,などという心配もされています。

 私個人としては,現段階では控訴審に裁判員制度が適用されることは予定されていないため,現在の職業裁判官の感覚に合わない一審判決は控訴すれば高裁でみんなひっくり返されてしまうのではないかというのが一番の心配です。 これではせっかくの裁判員制度が何の意味も持たないことになってしまいます。

 このように手探りの状態で始まる裁判員制度ですが,始まる前から反対ばかりしているのでは後ろ向きだと思います。 先に述べた不安な点は経験を積み重ねていけば判例もできるし,法改正もなされるでしょう。

 私もはじめは裁判員制度には消極的な意見だったのですが,最近は反省し,この機会をチャンスととらえようと思っています。 たとえば弁護人が裁判員の前で説得的な法廷活動ができればかなりの広告効果が得られるのではないかと思います。 ところが,現在のところホームグラウンドである川崎の裁判所では裁判員の裁判が行われないことになっています。 せっかくの裁判員制度ですので,是非川崎でも行ってほしいと思っています。

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